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病気から「うつ病」になる人が多い。そして自殺も

 がん、糖尿病などの重い病気になると、うつ病になり、自殺しやすい。
 自殺の原因で多いのが、「健康問題」である。すなわち、身体の病気からも自殺する。 そのわけは、大きくいうと3つあるだろう。うつ病のしくみはまだ解明されていないが、ストレスや身体疾患によってセロトニン神経、前頭前野、帯状回、体内時計などが変調を起こす。特に前頭前野の機能障害が著しく苦悩をもたらす。前頭前野の体積が萎縮しているという報告がある。  病気になった人が自殺することがあるのは、こうしたことによってうつ病になるからである。身体の病気そのものには自殺させる症状はない。しかし、うつ病を併発するので自殺するのである。

 下記のように身体の疾患に「うつ病」が併発する割合が高い。治癒するためにも予防のために も、高齢になったら心理的ストレス対処法を身につけることをおすすめしたい。早く、はじめておくのがよい。なってからでは、身体の病気の治療に眼が向いている間に、うつ病になる。病気になってからでは心理カウンセリングを始めるのは、身体的、時間的、距離的な困難がつきまとう。
病気 うつ病が起きる割合 患者数
がん 24−50% 276万人(1999年)、死亡年間30万
心臓疾患 冠動脈疾患の診断時点、急性心筋梗塞後の時点で40%
心筋梗塞発症後1年以内に、30%が重いうつ病
(うつ病が慢性化しやすい)
死亡年間15万
脳血管疾患 入院患者=重いうつ病19%、軽症18%
通院患者=重いうつ病14%、軽症9%
死亡年間13万
高血圧 10%ー20%
 
糖尿病 20%ー30%
(うつ病が慢性化しやすい)
740万人
慢性関節リウマチ 14%ー46%
70万人
腎透析 重いうつ病だけでも5%ー10%
24万人
「身体疾患とうつ」佐伯俊成(広島大学)「こころの科学」125号